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<選択肢>
5日目・・・スチル
*正剛のことが心配だった
違法カジノの連中と対峙する正剛。
「正剛、いい度胸してんじゃねぇか!お前もぶっ殺されてぇのか!」
「生憎だな。俺にはお前らに殺されてやる安い命はない!守ってやらなきゃならないものがあるからな!」
一歩、また一歩と進み・・・。
そのあまりに堂々とした姿に、連中は息を飲みその場を動けません。
「上等だ。そこまで言うなら、本当に死なねぇか試してやるぜ!」
男は銃口を正剛へ。
「正剛!」
「正剛さん!」
振り返ることなく、ゆっくり歩を進め・・・。
「だめ!行っちゃだめ!正剛!」
男は銃を構え直し、改めて正剛に狙いを定めます。
「正剛!」
私はありったけの声で叫んだ。
恐怖と不安で混乱し、涙があふれてしまう。
その時。
「その銃を下ろせ」
「! レ、レオンさん・・・」
「な、なんだ、てめぇら!」
レオンと舎弟たちが、ずらっと入ってきます。
「カジノは包囲した」
「なっ・・・!」
その数と迫力に圧倒される違法カジノ連中。
銃を握った男は、レオンを前に硬直して動けないようでした。
「そいつを貸してもらおうか」
男の手から銃を奪い・・・。
「!?」
「こんなことをして、もちろん覚悟はできているんでしょうね?」
銃口を男の頭へ。
「レオン、待て!暴力はダメだ。何の解決にもならない」
「正剛・・・」
「・・・・・・」
「こいつらにはちゃんと法にのっとって罪を償ってもらう。それがこいつらにとって一番の制裁になる」
「・・・かっこつけやがって」
鼻で笑うと、舎弟たちに顎で指示し、連中を捕らえさせます。
「正剛さん、すんませんでした!俺のせいでこんなことに!」
「バカ野郎!」
子分の胸倉を掴み・・・。
「なんで俺に相談しなかった!」
(正剛・・・)
優しくもあたたかな眼差しを向けます。
小さくため息を吐いた後、振り向いて・・・。
「○○」
「正剛・・・」
涙でにじんで、正剛がよく見えない。
優しく抱きしめてくれます。
「無事でいてくれたよかったよ、○○」
ここで選択肢。
「正剛のことが心配だった・・・無事でいてくれて本当によかった・・・。正剛になにかあったら私・・・」
「俺には○○という守るべきものがあるんだ。だから死ぬわけないだろ?」
大好きな正剛の声が胸に響く。
正剛の胸に顔を埋め、ぬくもりを感じると、ますます涙が止まらなくなった。
その時。
「正剛!○○!」
「みんな・・・」
顔を上げると、みんなが走って部屋に入ってきます。
「バイクの男を捕まえてて遅れちゃったんだ。ごめん!」
「彼、裏社会で有名なヒットマンだったみたいでね、ちょっと手こずっちゃった」
「それで違法カジノの連中は?」
「見ての通りレオンたちが捉えて、これから警察に引き渡すところだ」
「そっか、片付いちゃったんだね」
「それより、二人とも怪我はないか?大丈夫か?」
「ありがとう、私は大丈夫」
涙を拭いながら、笑顔を浮かべます。
「ってゆーか・・・」
みんながなぜか顔を見合わせて、ニヤリ。
「わりいな!俺たちかなり空気読めてなかったぜ・・・」
「帰るとするか」
「え、なんで?」
「気にしないでいいから!」
「さ、退散!」
「どうして!?」
「あいつら、なんか変だよな」
「いきなり帰っちゃうなんて、どうしたんだろう?」
顔を見合わせて首をかしげます。
が・・・どちらからともなく視線を下に向けると、正剛は私に両腕を回したままだった・・・。
「これじゃあ、あいつらにも居にくかったよな・・・」
「うん・・・」
思わず笑い合い・・・。
もう一度ふわりと抱きしめられ、何度も髪にキス♪
その後、病院へ。
医者が正剛の傷口を診ようと包帯を外すと、目を丸くします。
「回復力が驚くほど早いですね。傷の状態はまったく心配要りませんよ」
「本当ですか!正剛、よかったね!」
「あぁ!」
「青海さんは相当頑丈なんですね」
「先生、これくらいの傷はどうってことありません」
「それにしても、いきなり病室を飛び出て行ったときにはびっくりしましたよ」
「すみません。大変失礼しました」
頭を下げると、静かに視線を向け・・・。
「どうしても彼女を助けなければならなくて」
「正剛・・・」
医者は主人公を見て、にっこり。
「私や看護士が止める間もなくすごい勢いで出て行ったんですよ。それも今のように穏やかな青海さんとは別人のようでした。だから、よっぽどのことがあったんだと思っていたんです」
もう一度正剛を見て。
「あと1週間くらいで退院できるでしょう。それまではなるべく安静にしていてください」
「わかりました。先生、本当にありがとうございました」
会釈をした後、医者は退室。
「もうすぐ退院できるみたいでよかったね。みんなも喜ぶよ」
「○○のおかげだよ。ありがとう」
「ううん、全然」
ベッドの脇の椅子に座ります。
病室には私と正剛、二人きり。
静かな時間が流れる。
「正剛、助けて来てくれて本当にありがとう」
「○○を助けるのは当たり前だろ」
「でもあそこにいるってどうしてわかったの?」
「レオンに聞いたんだ。俺が麻酔からさめたら○○がいなくて、何か嫌な予感がしたんだ。そこでレオンなら何でも知ってるんじゃないかって電話した」
「そうだったんだ・・・」
「居場所を聞いたとき、目の前が真っ暗になったよ」
「ごめんなさい。どうしても止めなきゃって思って、とっさに出て行っちゃったの」
「俺の子分を守ろうとしてくれてありがとう、○○。でも、○○になにかあったらと思うと、生きた心地がしないんだ」
「正剛・・・」
「俺のためにも無理しないでほしい。約束してくれ」
やさしく諭すような言い方に、素直に頷きます。
ふと時計を見ると、深夜。
「さあ、正剛。もう遅いから休もう?」
正剛をベッドに寝かせ、肩まで布団をかけます。
「おやすみ。ぐっすり眠ってね」
「○○はどうすんだ?帰るのか?」
「ううん。ここにいるよ。イスに座って寝てる」
「○○」
布団から手を出され、軽く握り締めると・・・。
「今夜は二人きりだ。もっと近くにいたい。こっちおいで」
次の瞬間、手をグイッと引っ張られます!
「え、せ、正剛・・・!?」
布団の中にすっと引き入れられ・・・。
「!?」
「一緒に寝よう」
「ちょ、ちょっと・・・誰か来たらどうするの!?」
「呼ばない限りは誰も来ないよ」
腕枕をして、優しく抱きしめられます。
「こ、これじゃ、正剛休めないでしょ!?」
「俺は休まなくていい」
「傷が開いちゃうよ!?」
「俺の体はそんなにやわじゃない」
「で、でも・・・」
クスッと笑うと、顔を覗き込まれ・・・。
髪を撫でたり、すいたりを繰り返します。
「それから?」
「それからって?」
「誰か来るのと、休めないのと、傷が開くのと、あとは?」
「えっと・・・」
言葉に詰まると・・・正剛はわざとニヤリ。
「どうやらなさそうだな。だったら・・・」
おでこにそっとキス♪
続いて、瞼、鼻、頬へ・・・。
「せ、せい・・・ごう?」
「今さらだめとは言わせない」
「でも・・・」
それ以上言わせないように、唇が重なります。
ふわりと包み込むようキス。
優しい軽いキスから、次第に深まり・・・。
「こんな穏やかな時間は久しぶりだ・・・」
「うん・・・」
「だから今日はずっとこうしていたい」
お互いに、やさしいキスには、やさしいキスを。
甘いキスには、甘いキスを返す。
正剛の手が髪から首筋に下りてきて、ぬくもりがより伝わってくる。
私たちはいつ終わるともわからないキスをしたまま、いつしか眠りについた。
翌日。
テレビをつけると、例の事件が報道されてました。
『今回の事件で当初疑われていた青海正剛さんは無実になり、違法カジノを営んでいたリーダーが逮捕されました』
どちらからともなく顔を見合わせ、小さく頷き・・・。
『なお、これまでに局には全国の孤児院をはじめ、青海さんにお世話になったという多く方から、青海さんの無実を訴えたお手紙や電話がありました』
「え・・・」
「うれしいね、正剛。みんなが正剛を信じてくれてたんだね」
「俺の知らないところでみんながこんなふうに・・・」
お世話になったという人のインタビューが流れ、手紙等が紹介されます。
正剛はテレビの画面をやさしい眼差しで見つめ・・・。
その時、病室のドアがノック。
「失礼します」
現れたのは・・・両親!
「お父さん!お母さん!」
「いきなり申し訳ない。ただどうしてもすぐにお見舞いに来たくてね」
「わざわざありがとうございます」
「お体の具合はいかがですか?」
「お陰様で傷の治りも早くて、あと1週間ほどで退院できそうです」
「それはよかった」
「実は東宮さんをはじめ皆さんから連絡をいただいたんです」
「え・・・」
「彼らから正剛君の事情は聞いたし、ニュースも見たよ」
「この度は大変お心配とご迷惑をお掛けして申し訳ありませんでした」
正剛が深々と頭を下げると、父親は首を横に振ります。
「いや、こっちこそ、君を疑って申し訳なかった。どうか許してほしい」
「本当にごめんなさいね」
頭を下げる両親。
「とにかく正剛君が無事でいてくれてよかったよ」
「お父さん・・・」
「そして、約束どおり娘を守ってくれて本当にありがとう」
「私にとって○○さんを守るのは、当然のことです」
「君もすでに分かっていると思うが、○○は昔から無茶ばかりする子だ。でも、正剛君のような人になら安心して任せられる」
「私も夫も、正剛君のことを心から信頼しています」
「お父さん、お母さん・・・」
(私たちの交際、認めてくれた・・・)
胸がじんとして、目の周りが熱くなります。
「どうか、娘をよろしくお願いします」
「私の方こそ、どうぞよろしくお願いします」
正剛の目には強い意志と優しさが溢れてました。
それからしばらく後、正剛の傷は完治。
『OMI Enterprise』も順調に動き出します。
ある日の午後。
“OMI Enterprise”が建てた孤児院第1号のオープンパーティーに招待されます。
『カジノを軸に、日本の孤児院や福祉事業に利益を還元して、社会貢献したい』
そう語ってくれた正剛。
正剛はその言葉通り、夢を現実にさせた。
「○○、待ってたよ」
ホテルのロビーにいると、正装した正剛が来ます。
「今日は来てくれてありがとう」
「念願の孤児院オープン、おめでとう」
柔らかく微笑むと、手を取り・・・。
「○○、ちょっと来てもらえるかな」
連れてこられたのは、ドレスルーム。
「このドレス、来てほしいんだ」
正剛の視線の先には、美しいドレス。
「え、せ、正剛・・・?」
「理由は聞かないでほしい。さあ?」
担当者に目で合図。
意味が分からないまま、担当者に試着室に連れて行かれます。
「会場で待ってるよ」
「ちょ、ちょっと・・・!」
(いきなりドレス着てほしいとか、理由は聞くなとか、一体どういうことだろう・・・?)
─────会場
パーティー前で人はまだ誰もいません。
「ステキだよ、○○」
「ありがとう」
頬に手を伸び・・・。
「こんなに似合うとはな・・・」
優しく撫で、愛しそうに見つめられます。
「○○。話したいことがある」
頬から手を下ろす正剛。
一度視線を外した後、また戻し。
「○○を助けに行って抱きしめたとき、二度と○○を危険な目に遭わせなくないって思ったんだ。そのために俺ができることは・・・」
真っすぐに見つめられます。
「ずっとそばで○○を守り抜くこと」
「正剛・・・」
「今までもこれからも、○○のことを守らせてほしい。恋人としてではなく、生涯のパートナーとして」
「・・・!」
手を取り、そっと口づけ♪
「結婚してくれ」
「せ、正剛・・・」
鼓動が一気に高鳴って、頭がぼんやりする。
あまりに突然すぎて、あまりにうれしすぎて、逆に何が起きてるのかわからない。
「いつ言おうかずっと考えていた。でも、いつか必ず言おうと決めていたんだ」
「正剛・・・」
目の周りが熱くなってきて、正剛が涙でかすんでしまう。
「○○、改めて言う。俺と結婚してほしい」
真剣な顔だけど、目の奥は優しく・・・。
見つめながらうなずくと、涙がほろっと落ちます。
「ありがとう、○○。必ず幸せにするよ」
涙を拭われ・・・。
次の瞬間、お姫さま抱っこ!
「えっ、せ、正剛!?」
驚いたのも束の間、会場のすべてのドアが開きます。
そこから大勢の子供達が出てきて、クラッカーを一斉に鳴らし・・・。
「正剛兄ちゃん、○○お姉ちゃん、おめでとー♪」
「あ、ありがとう・・・!」
子供達の後ろからは楽器を持った人達が出てきて、演奏を始めます。
続いて入ってきたのは・・・。
「おめでとう、正剛、○○!よかったな!」
「み、みんな!」
「妬けちゃうくらいにお似合いだよ!」
「正剛なら安心してついていけるな、○○?」
「幸せになってね。応援してるよ」
「最高にお似合いのカップルだ。○○はもちろん、正剛も幸せそうだな」
みんなに囲まれ、お祝いを言われたり、冷やかされたり。
続いて入って来た人の中には、レオンや両親、そして子分の人たちの姿も・・・!
「ど、どういうこと!?どうしてみんな!?何がなんだかわからないんだけど・・・」
正剛はにっこり笑うと、そのままステージへ。
「正剛、一体どういうこと?」
「みんなには隠れてもらっていたんだ。はじめに○○にプロポーズしたかったから」
「もしかして知らなかったのって・・・」
「そう、○○だけだよ」
顔を覗き込まれ、おでこにキス♪
─────ステージ
『では、正剛に聞きます』
マイクを取る菊川さん。
『どんなときも○○ちゃんを守り、幸せにすることを誓いますか?』
「誓います」
『では○○ちゃん、正剛を支え、愛することを誓いますか?』
「誓います」
『○○ちゃんに、もうひとつ』
「え?」
『正剛と結婚しても、今までどおり僕たちの○○ちゃんでいてくれますか?』
「そ、荘太郎さん・・・」
「おい、○○。どうなんだよ!」
「まさかこれを機に・・・なんてことないよな?」
「○○に限ってそんなことはないと思うが」
「でも念のために聞かせて、○○ちゃん!」
「どうなんだ、○○?」
「それはもちろん・・・誓います」
会場は大拍手。
『ではご来場の皆様、せーの!』
(皆)「誓いのキスをお願いします!!」
はやし立てるように取り囲むみんな。
「ええっ!ちょ、ちょっと!?」
「荘太郎!?」
『照れてる場合じゃないでしょ。みんながお待ちかねだよ?』
見つめ合い・・・。
(どうしよう、みんなの前でキスなんて・・・)
「仕方ない」
「え、正剛・・・?」
(ここでスチル!)
キス♪
会場は大拍手と口笛でいっぱい!
「は、恥ずかしいよ・・・」
「俺もだ。でもそれ以上に幸せだよ」
「正剛・・・」
「みんなに祝福されながら、誓いのキスができるんだからな」
ふわりとやわらかいキス♪
お互い照れてるからか、いつもより唇が熱く感じる。
(皆)「もーっと!もーっと!」
「あいつらー」
私達はふっと唇を外して、笑い合う。
でもすぐにどちらからともなくお互いの顔が近づき、またキスをした。
「○○、愛してる」
「私もだよ、正剛」
甘く、熱いキスに溶けてしまいそうになる。
大歓声が遠くに聞こえるほど、私はいつまでも幸せなキスを浴び続けた。
途中、ハピエンかも・・・!?
と思ったけど、無事スパハピでした^^