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<選択肢>
12日目
“うまくできるか自信がありません”
“それはないです。”
(12日目(現代):遊園地って?)
13日目
“どこへでも行きます”
“そんなことができるんですか?”
(スチル:新しい日々/13日目(現代):現代で)
頼朝からの追討を逃れ、北陸から奥州へ。
追手が迫る中。
「ここで別れよう」
弁慶は義経に提案します。
「今、まとまって動いても、ひと思いにやられるだけだ。それよりも、御曹司と○○の二人だけで逃げた方がいい。やつらは我らの方に御曹司がいると思うだろうから、ひきつけることができるはず。逃げるための時間が稼げるだろう」
「しかし、それでは」
「俺達は御曹司がいれば、何度でも集まれる。逆に言えば、御曹司がいなくなればそれまでだ。だから、必ず生き延びてくれ。敵の目的はあくまでも御曹司。俺達に用はないから、もし捕まっても見逃してくれるだろう」
「陽動作戦というわけだな」
「ああ」
「・・・・・・・・・・・・」
暫く考えこんだ後。
「分かった。弁慶の案に従おう」
「義経様・・・・・・」
(でも、ここで別れたら、弁慶とは一生逢えないかもしれない。ただ、そうなると衣川でふたりともに死んだという史実にズレが生じる。もしかしたら、そのこと自体が変わってくるかも。なら、別れた方が・・・・・・)
「そうしてくれ。それが最善の策だ」
弁慶は安堵した顔。
「弁慶。死ぬなよ」
「当たり前だ。俺は不死身だ。死にはしない。御曹司も死ぬな」
「分かっている」
「それから、○○」
「はい」
「御曹司を頼むぞ。最後までふたりを守るといったのに、ついて行けないことが心残りだ」
「いいえ。守ってくれました。これだって守るための最善の策なんでしょう?」
「そうだな」
ふっと漏れる笑い。
「御曹司、○○のことを」
弁慶が言葉を止めると、義経は頷きます。
「大丈夫だ。○○のことはオレが守る。決して不幸にはしない」
その言葉を聞き、一度目を閉じると・・・かっと目を見開き、胸を張って宣言。
「よし。じゃあ、もう別れよう」
「弁慶、絶対に死なないでください」
「分かっている。まったく、○○に心配されるとは俺もやきがまわったな」
いつもの憎まれ口にも、涙が出そうだった。
「じゃあな。本当にお別れだ」
すれ違いざまに、頭を撫でられ・・・。
「弁慶・・・っ」
一瞬、足が前に出かけると、義経に引き止められます。
「義経様」
「弁慶の気持ちを無駄にするな。オレ達はオレ達で必ず逃げのびよう」
手を握る義経の手は小刻みに震えてました。
(みんな耐えているんだ。こんな別れがあっても、次につなげるために。だから、絶対に生き伸びる。絶対に、義経様を死なせやしない)
新たな決意を胸に、小さくなる弁慶達の後姿を見送ります。
(もう歴史は変わっているんだから、きっと大丈夫。義経様が死ぬ歴史はもう存在しないはず!)
その後、二人は北へ進み・・・・ついに、崖の上。
遠くからは聞こえてくるのは、大勢の人の足音や馬の嘶き。
覚悟を決め、二人が飛び降りようとしていると・・・・法眼に止められます!
「どうして、ここに?」
「○○殿、現代に戻る方法が分かりましたよ。それを伝えにきたのです」
「本当に!?」
「ええ。成功するかどうかは、試してみないと分かりませんが、上手くいく可能性はかなり高いと思います」
「じゃあ、私、現代へ帰ることができるの?」
「そういうことです」
「○○。よかったな。オマエは生き残れる」
「嫌、嫌です。私ひとりでなんか帰れない」
「○○殿・・・・・・!」
「義経様と一緒じゃなきゃ、どこにも行かない。言ってください、義経様。ここに共に残れと」
「○○殿、そこまで義経殿のことを・・・・・・」
「嫌。離れるのは嫌です!」
「・・・・・・○○」
泣きじゃくっていると、なだめるように背をさすられます。
「仕方ありません。義経殿、私はあなたが好きません」
「法眼さん!?」
「だから、この世界から消えてくれませんか?」
「!」
「この世界から消えて、○○殿の国・・・・・・現代へ一緒に行ってしまいなさい」
「ええ!?」
ここで選択肢。
「そんなことができるんですか?」
「できます」
にっこり。
「ひとり送るも、ふたり送るも一緒です。ただし、必ず成功するという保証はできかねますが。結果的に命を落とすことになるかもしれません」
「どうせ今、ふたりで死のうと思っていたところだ。別の世界へ行けるかもしれないというなら、その話に乗ろう」
「しかし一度行ってしまえば、こちらの世界へはおそらく二度と戻って来れませんよ。それでもよろしいのですか?」
「義経様」
「それでも構わない。○○が一緒なら、どこへでも行く。その気持ちは○○と一緒だ。○○のいるところがオレの都となる」
「義経様!」
ぎゅっと抱きしめられます。
「分かりました。なら、そう致しましょう。本当に本当にいいのですね? 義経様」
「ああ。オッケーだ。確か、○○の国ではこういう時、オッケーと言うのだろう?」
悪戯っぽく笑った義経の顔が、涙でくもってよく見えない。
「はい。そうです。オッケーです。オールオッケーです」
法眼の気合を合図に崖から飛び降りる→時空のひずみが起こり、現代へ。
(こうして、現代の街を歩いているなんて、不思議)
つい三ヶ月前まで源平の時代にいたことが、まるで夢のようだ。
気付いた時には私達は現代の京都に戻っていた。
現代に来た義経様はしばらくの間、驚愕の連続だったけれど、それもようやく落ち着いてきた。
私の家で一緒に暮らし始めて、現代のことを一から教えてあげるのも楽しかった。
何よりも私たちをよろこばせたのは、戻ってきて読んだ歴史書の中に弁慶のその後が書かれてあったこと。
私達と別れた後も、しっかりと生きて、大きな寺を取り仕切る大僧正になったらしい。
そして、義経は───。
喫茶店に入ると、義経様がにこやかな笑顔で出迎えてくれた。
最近、アパートの近くのカフェでバイトを始めたのだ。
「いらっしゃいませ。○○」
まだ、昔の言葉が抜けないところはあるけれど、そこが人気だとマスターが言ってた。
ちょっと心配だけど、いつも私だけを見つめてくれるところは変わっていない。
「○○、今日はなにを飲む? もうすぐ仕事が終わるから、一緒に帰ろう。な?」
にっこりほほえまれて、私は頬をゆるめた。
平和なこの国で、私と義経様は時間を超えた愛を育てていく。
ゆっくりと、そして大切に───。
スチルはカフェの店員姿♪
見た目or年齢のせいか(?)スーツ姿は想像出来なかったから、これでよし(笑)←何それ