<選択肢>
6日目
*日野先生と相談する
*・・・そっとしておこう
(狭い部屋・・・。日野先生がそばにいるから、何だか緊張しちゃうな)
「いよいよ次は私たちの番ですね」
「そうだな。緊張するか?」
「は、はい、少し・・・」
「まあ、無理はない。だが、他の生徒も同じ状況だ。必要以上に恐れることはない」
(先生・・・励ましてくれてるのかな? そうだとしたら、なんだか嬉しい)
「はい、励ましてくれて、ありがとうございます!」
「フ、フン、そんなつもりはない!試練で足を引っ張られては困るからな」
「は、はい」
(先生、やっぱり試練のことを第一に考えてるんだなあ・・・)
「・・・」
「・・・」
(う、沈黙が重い・・・)
「先生は優勝したら何がしたいですか?」
「は? 何のことだ」
「キングレオになったら、って話です。100億円貰ったら、どうしますか?」
「俺は・・・」
「? 先生、どうしました?」
(なんだかいつもの先生と違う・・・)
「・・・フ、フン。誰が答えるか。貴様ごときが俺に尋問など100年早い!」
「尋問って・・・」
「貴様はどうなんだ、△△。もし100億を手に入れたら、どうする?」
「私は・・・」
ここで選択肢。
「うーん。きっと先生に相談します」
「俺に・・・?」
「はい。100億なんて大金が手に入ったら、使い方を間違っちゃいそうですから。先生と相談して、使い方を考えようってそう思います」
「・・・」
「先生、どうしました? ぼーっとして。 具合でも悪いんですか? 熱とか・・・」
「!!!! こ、こら貴様! 近づくな!」
「ご、ごめんなさい。体調が悪いのかなって・・・」
「熱、脈拍ともに正常だ。生徒に心配をかけるような軟弱者ではないっ」
「は、はあ」
「全く・・・困った奴だ」
「△△、日野先生。時間だぜ」
「日下部くん、知らせに来てくれたの? ありがとう!」
「まあな。可愛い○○に会える用事なら。いくらでも大歓迎♪」
「またそんな調子のいいこと言っちゃって・・・」
「・・・」
「日下部くん、どうしたの? じろじろ見回して・・・」
「ふうん、二人きり、ね」
「え?」
「・・・お前と密室で2人きりなんて、妬けるなと思って」
「日下部、△△に何を話している」
「△△と閉じ込められる先生が妬けるな~って。生徒と2人きりだろ? やりたい放題じゃねえか」
「なっ」
「やりたい放題? 何を?」
「お、興味あるか? それはな・・・」
「日下部、いい加減にしろ!!!」
「!」
「前にも言ったはずだ。俺は生徒を特別扱いはしないと。二人きりだろうが何だろうが、俺は△△に対して生徒以上の扱いはしない。無論、他の生徒に対してもな」
「うっわー、こえぇ~」
「・・・」
(『生徒以上の扱いはしない』、か。 やっぱり、本当に教師と生徒しか思ってないんだろうなあ。 私も先生のこと、ちゃんとただの先生だって思うようにしなきゃ・・・)
「あまり△△によからぬ事を吹き込むな!」
「ハイハイ。ムキになるのもいいんだけどさ、そろそろ行かないと時間制限で失格になるぜ?」
「!!」
「なんか○○のこととなると目が離せないみたいだな、先生」
「だ、断じてそんなことはない!! 日下部、教師をからかいすぎだ。 試練が終わり次第、貴様の煩悩まみれの脳を浄化してやる。 △△、行くぞ」
「は、はいっ!」
「行ってらっしゃ~い♪ ・・・」
(目隠しをされて、どこまで歩くんだろう・・・。 頼れるのは、手を引いてくれてる先生の手だけだよ)
ガチャッ・・・ガチッ「? 鍵がかかる音?」
『目隠しを外してください』
「ここは・・・」
『第二の試練は密室からの脱出。脱出にかかったタイムで順位を競います。速やかに脱出してください』
「ドアは・・・やはり閉まっているか」
「部屋の中に何か仕掛けは・・・あっ。先生、この装置あやしくないですか?」
「・・・」
「先生? どうしたんですか、考えこんで」
ここで選択肢。
(考え事してるのに邪魔したら悪いよね。 よーし、部屋を調べてみよう)
「あんまり物がないなぁ。 ドアもびったり閉まってるし・・・」
(やっぱり装置があやしい・・・ ちょっとぐらいなら触ってもいいよね)
「! 何をしている」
グイッ「きゃっ」
触ろうとした手を強く握り締められます!
「お前のことだ、考え無しに行動したのだろう。触れて罠でも発動したらどうするんだ」
「え、罠があるんですか・・・?」
「無いとは言い切れないだろうが」
「それは・・・」
「あれこれ闇雲に触るな、じっとしてろ」
「はーい・・・先生」
「なんだ」
「・・・手、離してもらっていいですか?」
「くっ! とにかく・・・ここから脱出しなければいけないな」
「そうですね。手分けして手がかりを探しましょう」
「ああ」
(うーん、これといっておかしな所は見当たらないなあ)
「△△、来い」
「はい。・・・あ、少しだけ壁が盛り上がってますね」
「ああ、何かのスイッチか」
「じゃあ、押しててみたら・・・」
「罠かもしれないぞ。油断はするな」
「は、はい!」
「今から押す。周りに気をつけろよ」
「わかりました」
ガッチャン「あれ、今の音・・・ドアから? すごい、鍵が外れてる!」
「フッ。あからさまにおかしかったからな」
(私、全然気づかなかった。やっぱり日野先生はすごいなあ・・・)
「さあ、急ぐぞ」
「はい」
「うわっ、真っ暗ですね! すぐ先も見えない・・・」
「チッ。壁を伝って進むしかないか」
「せ、先生、どこですかー!?」
「△△こそ、どこにいる!」
「こ、ここにいます!」
「どこだ?」
「ここです!」
「これか?」
グイッ「きゃっ」
手を引っ張られます!
「そ、そうです。先生が手を握ってます」
「・・・」
握る手の指先が、少し震え・・・。
「チッ・・・手間のかかる。このまま繋いでいくぞ」
「!! は、はい」
(日野先生と手を繋いで・・・)
「△△」
「何ですか?」
「手を繋いで進むこと、勘違いはするなよ。仕方なくだからな」
(仕方なく・・・)
「も、もちろん。分かってます」
「・・・ 進むぞ、足元に気をつけろ」
「は、はいっ」
カツカツカツカツ・・・(さっきよりは目が慣れてきたみたい。日野先生の様子も少しだけわかる。それにしても、ずーっとまっすぐ歩いてるけど、大丈夫なのかな? 先生がいるのに、ちょっと心配になってきちゃった)
「・・・どうした、△△」
「え?」
「今、手を強く握っただろう」
「あ、その・・・ 暗い中ずっと歩いてるから、その・・・」
「不安になってきたのか?」
「は、はい」
「俺が道を間違えていると言いたいのか?」
「そんなことはないです!」
「なら不安を抱くこともないだろう」
「・・・すみません。私、専制のことを信じます。パートナーですからね!」
「・・・ああ、そうだな。さっさと抜けるぞ」
「はい!」
(不思議だな、日野先生と一緒に手を繋いで、励まされて・・・ もう出会った時のような怖いイメージはほとんど消えかけてる)
「・・・ん」
「どうしました?」
「ドアノブらしきものが当たった」
「あ、部屋みたいですね。光が漏れてる」
「・・・」
「入ってみませんか?」
「そうだな。くれぐれも気をつけろよ」
「はい!」
「あれは、ハシゴ・・・?」
「いかにもあやしいな。どこかに繋がっているのか」
部屋の途中まで差し掛かった時。
パタン「!?」
ガチャッ「・・・あれ、今の音・・・」
(ド、ドアが勝手に閉まった!)
「くそ、鍵が・・・入り口を封鎖されたか」
(ど、どうしよう・・・)
第二の試練は、まだまだ続く・・・・・!
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