<選択肢>
10日目
選択肢なし
♪チャッチャッチャ・・・チャチャッ
(ここの足さばきを・・・早めにっと。 うん、上手くいった)
「・・・」
(あれ、今日野先生が笑ったような・・・? っと、いけない。集中しなきゃ! ここで、フィニッシュ!)
♪チャッチャン!
「き、決まった・・・!」
『日野・△△ペア、ミス1つないタンゴでした★ みなさま、温かい拍手を~~』
「え、えへへ・・・。日野先生、上手くいきましたね」
「フン、当然だ。・・・貴様にしては上出来だったと思うが」
「ほ、本当ですか?」
「し、知らん。俺は先に行くからな」
「あ・・・行っちゃった」
(自分から褒めておいて、知らないだなんて)
「先生って恥ずかしがりなのかなぁ」
「△△! 感謝してるぞ~・・・ っと!」
「きゃっ、日下部くん?!」
「はは。今日の日野のマネな、似てた?」
「に、似てたけど」
「日下部! ○○に抱きつくなよ!」
「いいだろ、別に。秀ちゃんのモノってわけじゃないだろ?」
「そ、それは・・・」
「日野の告白すごかったよな。びっくりしたぜ」
「ああ。・・・驚きのあまりに目が冴えた」
「寝たたのかよ、荒瀧・・・」
『次、エントリーナンバー32番~♪』
「よっし、行ってくるぜ!」
「がんんばって、獅堂くん」
「おう!」
「がんばって失敗しろ、獅堂クゥン♪」
「うるせぇ!」
「ふう・・・」
(ダンス会場なんて慣れないから疲れちゃった)
「みんな、平気なんだろうなぁ。ダンスも上手だし。社交界にいたらそうなれるのかなー」
(庶民の私には無縁の話だけどね・・・)
「・・・でも、楽しかったな。こうやって、先生の手をとって いち、に、さん。いち、に、さん・・・」
(こんな機会じゃないと、先生とは踊れないよね。踊っているときの先生、すごくかっこいいんだよね。キリッとしてて・・・近くにいると、すごくドキドキする)
「はーあ、もっと堪能すればよかったかも」
「・・・今度はこけても助けないぞ」
「! 先生・・・」
「フン。こんなところで何をしている。ダンスを踊る必要はもうないだろう?」
「えっと・・・それはそうですけど。少しさみしいなって思って」
「寂しい?」
「はい。・・・もう先生と踊れないんだって。タンゴの勉強、すごく大変でした。けれど、踊れるようになってからはすごく・・・楽しくて」
(本当はそれだけじゃないはず。・・・きっと私は、先生のことが好き。けど・・・先生にとっては迷惑だろうから、隠さなきゃ)
「・・・先生と踊ってると、心が弾むんです」
「・・・」
「もう終わりなんだなって思うと なんだか寂しいって」
「まだ終わっていない。結果発表はまだだ」
「そうでした。すみません」
「・・・踊りたくば、付き合わなくもない」
「ほ、本当ですか?」
「ああ。その、なんだ。俺はお前が・・・」
「おーい、○○! ここに居たのかよ」
「!」
「秀ちゃん。どうしたの? 走ってきて」
「結果発表だってよ! 行こうぜ!」
「呼びに来てくれたんだ。ありがとう、秀ちゃん」
「おう!」
「先生、行きましょう」
「・・・いい。後から行く。お前は先に行け」
「? でも・・・」
「心配するな、必ず行く。・・・少しそっとしてくれ。自省したい」
「は、はい」
(先生、どうしたんだろ?)
「・・・行ったか。危なかった。もう少しで口にするところだった・・・。許されざることだというのに・・・全く」
『さーて、お待ちかね結果発表です!』
(うう、ドキドキしてきた・・・)
『学園イチラブラブタンゴ決定戦 栄えある優勝ペアは・・・』
♪パンパカパーン!パ、パッパッパ、パ!!
『日野・△△ペア!!!!』
「なっ」
「や・・・ やりましたよ、先生!」
「・・・」
『日頃、鬼・悪魔・鬼畜と恐れられる日野先生! そんな日野先生の意外な愛のポエムに審査員一同、涙がとまりませんでした。よよよ・・・』
「だ、誰が愛のポエムだ・・・チッ」
『このギャップ、あのクオリティ 他者の追従を許さず、ぶっちぎりの1位!!』
「確かに、あのインパクトには勝てねーよな」
「ああ。目覚まし時計にしたいぐらいだ」
「いや、それはヤだろ・・・」
『ささ、日野くん、△△さん。お立ち台の上にどうぞ~』
「先生・・・」
「・・・呼ばれたら、行くしかないだろう」
「あれ? 今日は手を繋いでこないんだ?」
オフマイクで小声で言う理事長。
「理事長・・・」
「くく。日野くんかわいいなぁ~」
『おめでとう! 日野くん、△△さん! 君たちは学園で1番のラブラブペアだ!』
(ラブラブって・・・)
「そんなことを言わないでください」
「!」
「教師と生徒です、許されるべきことではない。そうでしょう、理事長?」
「え? なんで? 別にいいじゃん♪」
「は?」
「学園に咲く愛の花、何故摘み取る必要があるの? 僕的には全然オッケーだし~!」
「そ、そんな・・・。 い、今までの葛藤はなんだったんだ・・・!」
「せ、先生?」
「理事長~! マイク使わねえと聞こえねーよ!」
「そうだぜ。日野と理事長、何の話してんだよ」
『おおっと、ゴメンゴメン~♪ 日野くんの恋をみんな応援してあげてね~♪』
(理事長!)
「日野の・・・」
「・・・恋、だと?」
「まあ! 教師が恋愛などと・・・ドラマティックでステキですわ♪」
ワ~!!「な、何を勝手なことを!」
『き、貴様ら動揺するな! こここ、これは理事長の戯言であって・・・・・・』
「動揺してんのは日野じゃないのか?」
会場にどっと沸く笑い声。
『ク、クソッ・・・覚えておけ。貴様らを今まで以上にいためつけてやるからな!』
『まあまあまあまあ、おちついて日野くん♪ タンゴ大会も終わったところで、今日はみんなで立食パーティーをしよう!』
パチンッ理事長の合図で、料理が運ばれてきます。
『みんな、試練おつかれさま! 心ゆくまで料理を楽しんでね。 日野くんもね~』
「私のことは放っておいてください・・・」
「ふあぁ・・・眠~~」
「秀ちゃん、もう帰ったら?」
「やだ。ここにいる! なんで日野と○○が~。 ・・・すぴー」
「立ちながら寝ちゃってるし」
「フッ。・・・さあ、オコサマは寝たようだ。△△、俺と今夜・・・」
「え、日下部くん」
「△△」
「! 先生」
「っ・・・日下部もいたのか」
「ああ。・・・っと 日野と比べちゃ、オレもオコサマか。仕方ねえな。今日は日野に譲るとするか」
「何の話だ」
「理事長に応援しろって言われた事だよ」
「なっ・・・」
「じゃあな、△△。オレ、秀ちゃんを部屋に送ってくる」
「あ、うん。おやすみなさい」
「日下部め・・・」
「どうしました、先生」
「は?」
「あ、その・・・ 用事があって呼びかけてくれたんですよね?」
「それはそうだが・・・ ・・・」
(? 黙っちゃった。 ・・・そういえば、告白の時にも何か言おうとしてたよね。 聞いてみようかな)
「あの・・・」
「その・・・」
(あ、かぶっちゃった)
「なっ。お、お前から言え」
「いえ、先生からどうぞ」
「なんだと」
「年の功です!」
「チッ・・・」
(し、舌打ちされた)
「お前、今日はちゃんと寝るんだろうな。昨夜みたいに抜け出すんじゃないぞ」
「わ、わかってますよ。不良みたいにいわないでくださいよ。昨日はたまたま散歩に出かけただけで いつもは家でまったりしてます」
「フン。口ではなんとでも言える」
「むっ。先生、疑うんですか? だったら、部屋に来ればいいじゃないですか」
「なっ・・。 年頃の娘がそんなことを言うな、馬鹿もの!」
(ば、馬鹿って・・・)
「部屋に見回りにくるだけじゃないですか」
「!」
「それと年齢とどう関係あるんですか?」
「そ、それは・・・」
「それは?」
「くっ、な、なんでもない! いいか。明日からは平常授業だ。 今日・・・理事長がああ宣言したとはいえ俺はお前を甘やかす気は一切ない」
「うっ・・・」
「わかったらさっさと部屋へ戻れ!」
「は、はい!」
「はあ、走って戻ってきちゃったよ。 『お前を甘やかす気は一切ない』、かぁ。 ・・・明日からもっと厳しくなったらどうしよう」
(先生って私のこと、どう思ってるんだろうなぁ・・・。 あの時いいかけてた言葉、結局ききそびれてるし)
「・・・あれ、ベッドの上に手紙が置いてある。 私宛だ。・・・この字、見覚えがあるような・・・。 えーっと、なになに。」
・・・・・・△△○○へ。
あなたとパートナーとなり、共に時間を重ねていくうちにあなたに次第に弾かれていきました。
教師としては勿論、ただ1人の男としてあなたを愛おしく思います。
公私共にあなたを支え・・・、許されるなら、支えられたい。そう思ってやみません。
願わくば、私の気持ちを受け止めてください。
日野凱より、愛を込めて。
「・・・ ・・・えーっと。これってラブレター・・・だよね? それも、先生から私宛の・・・。 えええええええ!!!」
(先生、私のことが好きだったの?! 愛を込めてってどういうこと?!)
「せ、先生・・・日野先生・・・今時ラブレターなんて すっごくピュアなんだなぁ・・・」
(ラブレターってどう返事したらいいんだろう? 会った時に言えばいいのかな?)
「・・・そうだ。私も先生へ手紙を書こう」
(それで、すました顔で渡すんだ)
「先生、どんな顔して受け取ってくれるかな?」
(照れるのかな? それともフツーに受け取るのかな?)
先生の百面相を想像しながら、手紙を書き始めます。
厳しくて、優しい日野先生へ。
私も先生のことが、好きです。
Σスパハピ、外しました^^;
(初めて・・・・・)
でも、ハピエンだとラブレターなのね♪
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