<選択肢>
9日目
*謙信を止める
*嫌です
「・・・・・・勘助、その爆弾は何だ?」
「・・・・・・」
「信玄の命令か? お前が爆弾を仕掛けたのか?」
「・・・・・・この状況下では、そう受け取られるのも無理はありませんね」
光秀はとても穏やかな口調でした。
「私をこれを取り除きに来たのです」
謙信はあっけにとられた表情。
「私は今回の戦の原因に疑問を抱き、独自に調べた結果、ここにたどり着きました」
「ちょっと待て。いきなりそんなことを言われて、信じられると思うか?」
「しかし事実は事実。実際、あなたたちも私と同じく、ここにやって来たではないですか」
取り乱すことなく、光秀は真っ直ぐ二人を見据えます。
主人公は焦って、二人の間へ。
(ここで選択肢)
「謙信様、刀をお納めください!」
「○○・・・・・・どうしてこんな奴の肩を持つ?」
「それは・・・・・・以前信濃でお会いして、お話をしたので・・・・・・」
「話をしただけで信用できるのか」
「・・・・・・山本勘助様は、明智光秀様なんです」
「まさか・・・・・・」
「尾張にいた時にも、お世話になりました。とても信用できるお方です」
「・・・・・・本当に光秀殿なのか・・・・・・」
そうは言ったものの、謙信はまだ疑いの目で光秀を見つめてました。
「ならば光秀、他にわかっていることがあるのなら言ってみろ」
「犯人の目星はついております」
「なんだって? 一体誰だ?」
「はい・・・・・・。
ここで爆発が起これば、戦場となっている川中島には鉄砲水が押し寄せる。そうなれば、多くの死傷者が出るでしょう。その結果、戦は泥沼化。戦が長引いて喜ぶのは・・・・・・」
「・・・・・・武器商人か」
頷く光秀。
「ちなみに、この爆弾は我が国で製造された代物ではありません」
「敵は外国勢力と繋がりがあると」
「これらの情報から導き出せる人物は・・・・・・呂宋助左衛門」
「・・・・・・それが本当なら、オレと信玄が戦ってしまうと、敵の思う壺だな」
「信じてくださるのですか」
「いや、そんな簡単には納得はできない。しかし、話の筋は通っている。さすがは、その昔織田家家臣団一の知恵袋と呼ばれた男」
ここで突然、がさがさと音がして・・・・・野盗が現れます!
「へへ。勝手にそれを持っていかれちゃあ困るんだよなぁ」
「呂宋の手の者か」
「そんなのどうだっていいだろ?とにかく俺たちは時間になったら、そいつを爆発させなきゃなんねぇーんだよ」
下品な笑いを浮べ、じりじりと迫ってくる野盗たち。
「光秀、そなたの言ったことは正しかったようだ。○○、下がっていろ」
「は、はい・・・・・・」
「光秀、この場を切り抜けるぞ」
「承知しました」
刀を抜く二人。
「やめとけ。こっちは二十人以上いるんだぜ?」
「関係ないな。どんなに数が多くても雑魚は雑魚。オレたちの相手じゃない」
「くそ生意気な・・・・・・おい、やっちまえ!」
襲いかかってくる野盗を、二人は軽い身のこなしで次々なぎ倒していきます。
が、どんなに倒しても敵は次から次へと現れ・・・・・。
「本当に数だけは多いな」
その時。
光秀の足元に倒れていた野盗が急に起き上がり、刀を振り上げます。
「光秀様、後ろ!」
声に反応して、光秀はとっさに対応。
野盗は倒れたものの・・・光秀も足を斬りつけられ、思わず地面に膝をつきます。
「くっ!?」
「大丈夫ですか、光秀様?」
「こ、これくらいなんてことはない・・・・・・」
言葉とは裏腹に、光秀の額からは滝のような汗。
「爆弾はこちらの手にあります。敵の増援が来る前にここを立ち去りましょう。さぁ、二人は先へ」
「でも光秀様!」
「心配するな。オレも後から行く」
「待て。その傷で逃げるのは難しいぞ」
「何とかします」
「いや、ダメだ」
じっと主人公を見つめ・・・・・。
「○○、光秀に肩を貸してやって先に逃げてくれ。オレは敵を蹴散らした後から、二人を追いかける」
「囮ということですか?」
「光秀を残すよりも、オレが残った方が全員が生き延びられると思わないか?さ、早く行け」
ここで選択肢。
「嫌です」
「え・・・・・・?」
「謙信様の傍にいさせてください!」
「しかしな・・・・・・」
「謙信殿、今の私では満足に○○を守ることは出来ません。謙信殿は○○と一緒に行って下さい。囮役ぐらいなら、この足でもなんとか務めてみせます」
「・・・・・・わかった」
「私の不注意のせいで、こんなことになってしまい申し訳ありません」
「気にしなくていい。それよりも無理はするな」
「謙信殿も」
深々とお辞儀をすると、光秀はわざと音を立てて森の中へ。
野盗たちはいっせいにその後を追っていきます。
木陰に隠れ、暫く敵の様子見。
「・・・・・・いかがですか」
「・・・・・・厳しいな。山猿のようにどんどん湧いてくる」
謙信は厳しい表情。
「あの・・・・・・」
「大丈夫だ。○○はオレが守る」
気持ちを察してか、すぐに笑顔に。
「○○、ついてこい」
「はい!」
森を抜け、湖から流れ出す川を辿っていくと・・・・渓谷へ辿りつきます。
岩場に隠れ、敵の様子を伺っていると・・・・・。
「・・・・・・○○」
急に手を掴まれます。
「山のふもとまで一人で行けるか?」
「え?」
「先に行って兼続や慶次に伝えてくれ。すぐに避難するようにと」
「だったら謙信様も一緒に!」
とても穏やかな表情で、首を振り。
「○○が逃げている間にオレが敵を引き付ける。心配するな。オレも後からすぐに追いかける」
危機が迫っているとは思えない、静かな声。
渓谷の清水のような澄んだ瞳。
その目をじっと見返し・・・・・。
「・・・・・・嘘です」
「嘘じゃない。オレが○○に嘘を言った事なんてないだろ?」
そっと頭を撫で・・・・・。
安心させようと、謙信は笑顔を絶やしません。
その笑顔を見ているだけで、胸が締めつけられ・・・・・。
謙信の腕を掴み、必死に。
「・・・・・・私も一緒に戦います」
「無理だよ。分かってるはずだ」
「でも、謙信様を置いて行くなんて絶対出来ません!」
「なぁ、○○、聞いてくれ、オレは・・・・・・」
「もう二度と離れなくないんです!」
我知らずそう叫ぶと、引き寄せられます!
「・・・・・・○○。・・・・・・オレだって○○と離れたくないさ」
耳元で低く囁く声。
「オレは・・・・・・○○とずっと一緒になりたかった」
(・・・・・・謙信様?)
「再び○○がオレの前に現れた時、どんなに心が騒いだか分かるか?そばにいればいるほど、どんどん離れがたくなる。どんどん愛おしくなる」
腕に力がこもり・・・。
それだけで、涙が零れそうに・・・・・・。
「もし、ここから生き延びることができて、この戦が無事に終わったら・・・・・・。その時は、○○と・・・・・・・」
「おい、その辺りにいるのはわかってんだ! 出てこいっ!」
謙信の言葉を遮るように野盗の声が渓谷に響き渡ります。
ゆっくりと体を離すと、再び優しく笑い。
「大事な話をしてるってのにな・・・・・・気が利かない奴らだ。○○、オレと逆方向に走るんだよ」
言った途端、謙信は岩場から飛び出します。
「謙信様ぁ!!」
追って飛び出していこうとすると・・・・・。
その瞬間、力強く肩を掴まれます。
「っ・・・・・・!?」
振り返ると、慶次。
「アンタはここで待ってな!」
「慶次さん・・・・・・!」
慶次は謙信を追いかけるように飛び出していきます。
連れてきた兵たちもそれに続き・・・・・。
大勢の野盗に囲まれていた謙信は、一気に形勢が逆転。
あっという間に野盗たちを倒します。
慶次に光秀とのことを説明。
「・・・・・・マジかよ」
「今一番大事なのは、すぐに山を下って、この戦を止めること」
「だな。で、止められるのは総大将の謙信様、アンタしかいねーよ」
その時、一人の野盗が岩場から姿を現します!
手には松明。
「おい、まだやんのか?」
ニヤリ、といやな笑みを浮かべる野盗。
「やんねーよ・・・・・・お前らに勝てないのはよーくわかった・・・・・・」
懐から取り出したのは、見覚えのあるもの!
「へへ・・・・・・どうせ失敗するなら、お前らもろとも巻き込んでやる」
「ありゃあ、なんだ・・・・・・?」
「あれが爆弾です!」
「はぁ!? てめぇ、それをよこせ!」
慶次が飛びかかろうとするものの、野盗は火を爆弾へ近づけます。
「こっち来るな! これが最後の爆弾だ。無駄にはしねぇからな」
「・・・・・・ちくしょー」
「ひゃははは! お前ら全員死ぬんだよ!」
今にも爆弾に松明の火がつけられようとしていた、その時。
麓の方から、ホラ貝の音が風に乗って聞こえてきます!
謙信は辛そうな表情を浮かべ・・・。
「開戦の合図だ」
「えっ!?」
少し遅れて、無数の兵の人達が上げた叫び声が山々にこだまします。
「くそっ! 間に合わなかったのか!」
戦、始まっちゃいました・・・!!
戦の行方は・・・!? 謙信たちの運命は・・・・・!?
(名前だけだけど・・・・・今回も、呂宋絡んできました/笑)
スポンサーサイト