<選択肢>
10日目
知盛様に従うまでです
帰るのは、まだ先でいいです
(10日目(幸福):電車)
福原の都で落ち着いたと思っていた頃。
義仲が攻めてくるという噂が飛び込んできます。
朝から知盛の部屋には重衡、教経が来て・・・話し合い。
そこで、義仲が討ち取られてないことを聞きます!
(歴史のズレが発生)
後白河に命じられた義経は、三種に神器を返すよう要求。
(できなければ滅ぼす、と・・・)
総大将にはまた宗盛を立てる言う知盛に、教経は反対。
重衡も賛成しかねると言います。
が・・・・・。
「血の掟は守る。俺の上に立つのは、宗盛殿だ」
知盛は考えを変えず・・・・。
「重衡兄者、帰ろう。いくら言ってもムダだ。頑固なんだから」
教経が呆れて立ち上がると、重衡を急かします。
「本当にそれで?」
「そうする以外の道はないと思う」
「相変わらず時代遅れなほど律儀な・・・・・・。しかし、だからこそ、みんなが知盛兄者についていくんだろう」
「重衡様」
「すまないな」
「いや、かまわないよ。こうなるのも運命。知盛兄者の決定には、みな従うはず。たとえ、それが沈む船に乗ることになるのだとしても」
教経を宥めながら、重衡は退室。
2月。
史実通り、いよいよ一の谷合戦が始まろうとしてました。
知盛は縁側に座り、夜の庭を眺め・・・。
「・・・・・・」
その顔には、深い苦悩が刻まれ、連日の疲れが見えます。
それを見ただけで、胸がきゅっと締め付けられ、苦しく・・・。
(平氏の結束のために奔走しているのに、一番身近なところに反対する人が多くて、最近ずっと辛そうだ)
昔の自分なら、あの鉄仮面の下にそんな辛さがあるとは気づきもしなかなかっただろう。
けれど、今はもう、彼がどんなにさびしがりやなのかを知っている。
そして、どんなに平家一門を愛しているのかも知っている。
「・・・・・・」
知盛は、声をかけるのもためらわれるような沈んだ表情。
なるべく明るい声をだして、隣へ。
「お酒をどうぞ、知盛様。今夜は冷え込みますので、少し熱めにつけておきました」
「○○」
「はい」
「お前は法眼のところへ帰れ」
「え・・・・・・?」
(ここで選択肢)
「帰るのは、まだ先でいいです」
「先ではダメだ。今すぐにという話だからな」
「どうして、そんなに急ぐのですか?」
「俺は前から考えていた」
「私にとっては突然です」
「理由が聞きたいようだな」
ため息と共に呟きます。
「理由があっても、ダメです。私は知盛様と離れるつもりはありません」
「明日死ぬことになってもか?」
「明日・・・・・・」
明日は、一の谷の合戦。
史実では・・・・・この戦で平氏は福原の都を追われ、海上へ。
その後は、まっさかさまに壇ノ浦へ転落。
「お前が平氏とともに死ぬ理由がないことが、逃がす理由だ」
「そんな、今になって、そんな、どうして!!」
「まだ理由が必要か?」
「私は知盛様についてきたのですよ?」
「聞こえなかったのか? 一緒にいれば、死ぬんだぞ」
「・・・・・・ここで私を放り出すなら、最初から連れてこなければよかったのです」
「○○・・・・・・」
「もともと、この世界の人間じゃない私は一人ぼっちです。今更、どこに行けと・・・・・・」
「法眼のところまでちゃんと送ってやる。心配するな」
「私は都落ちする時、知盛様と運命をともにする覚悟をしました。知盛様だって、何度も私に覚悟しろって言ったじゃないですか」
「・・・・・・そうだな。俺が愚かだ。そして、覚悟が無い」
辛そうに顔を歪め・・・。
「俺はお前を平家のためにとことん、利用するべきだろう」
こぶしを床に叩きつけます。
「・・・・・・しかし、俺は、どうしてもお前を危ない目にはあわせたくない。自分でも、こんなことを言う自分に驚いている」
「・・・・・・知盛様」
「お前が傷つくことは、我慢がならない。まして敵から傷つけられるようなことがあれば、正気を保つことさえ難しいだろう」
「でも、知盛様が守ってくれるんでしょう? 私は大事な道具だから」
「もう、道具とは思っていない。だから、もうそばには置けないんだ」
耳に優しく触れる指。
それは、とても愛しさのにじむ仕草でした。
「私、あなたの道具になります。だから、そばに置いてくれますか?」
「○○」
すがるように言う主人公を、知盛は強く抱き締めます。
骨がきしみそうなくらい強い抱擁。
ひしひしと伝わってくる熱い気持ち。
この熱に名前をつけるなら、愛情であって欲しい。
決して、自分の思い違いではないと思いたい。
「分からないのか? お前の代わりはいないんだ。先見の巫女としてじゃない。一人の女として、お前が俺には必要なんだ」
照れながらも熱心に伝えられた告白。
「と、知盛・・・・・・様。今の言葉では、まるで私を愛してくれているように聞こえます。そんなこと、あるはずがないのに」
「俺にだって、信じられない。だが、確かだ。俺はお前を愛してしまった。この気持ちはもう、後戻りできない」
「ほ、本当に?」
「嘘や冗談でこんなことは言えない」
「わ、私も愛しています。だから、だから、離れられません」
「○○、いいのか?お前のこの先の人生を奪うことになるんだぞ」
「構いません」
もっと好きだという気持ちを伝えようとして、言葉を紡ごうとしたが、それは出来なかった。
途中で、私のくちびるは知盛様に奪われてしまっていたから。
まるで、深く深く、私の全てを奪うように。
晴れて二人は両思い♪
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