<選択肢>
3日目
*お父さんの言葉を素直に伝える
*嫌な思いさせてごめんね
翌日。
「はい、もしもし」
『レオンです』
「レオンさん・・・。もしかして、なにか新しいことがわかったんですか!」
『正剛が今日保釈されるように手筈を整えましたので、会いに行ってあげてください』
「ええっ!保釈!?一体どうやって?前に、誰かが圧力掛けてるって・・・」
『そのようなことは○○さんが気にするようなことではありません。いいですか、正剛に会っても、私の事は何も言わないでください』
「え、どうしてですか?だってレオンさんのおかげで正剛は・・・!」
『いいんです。そんな柄じゃありませんので。とにかく、また何かあればご連絡します』
「レオンさん・・・ありがとうございます」
─────警察署前
「正剛!」
「○○・・・」
驚きを隠せない様子の正剛。
でも、うれしそうに顔をほころばせます。
「迎えに来たよ」
「ありがとう。でも、よく今日出れるって分かったな?」
「だって、レオ・・・あっ!」
(やばい!言うなって言われてたのに!)
「え?」
「あ、えっと・・・レ、レンラクがね・・・!」
「・・・・・・」
少し考えるような顔をして、じっと見つめ・・・。
「つまり、レオンからレンラクがあったんだな?」
誤魔化そうとするものの、正剛はお見通しでした。
「・・・・・・うん。レオンさんが保釈されるように手筈を整えたって」
「そうか・・・アイツに礼を言わなきゃな」
「でも、正剛には自分のこと言うなって・・・」
「アイツらしい。○○から聞いたとは言わず、それとなく伝えるよ」
頬を緩めると、空を見上げて深呼吸。
「外の空気は気持ちいいな。なあ、○○。久々に外に出れたからゆっくり帰りたい。付き合ってくれるか?」
「もちろんだよ、正剛」
手をスッと取り・・・。
(久しぶりだな、正剛のぬくもり・・・)
ぎゅっと握り締めると、正剛も強く握り返してくれます。
景色が見渡せる高台の公園。
「夕焼けがキレイだな」
「うん・・・」
眩しそうに夕陽を見つめる正剛。
私はそんな正剛の横顔ばかり見つめてしまう。
「○○、迎えに来てくれてありがとな」
「早く会いたかったから・・・。正剛が出てきてくれて本当にうれしいよ」
見つめると、ふわりと抱きしめられます。
「俺も○○に会いたかった。○○が警察署の前に立ってるのを見て、驚いたけどすごくうれしかったよ」
髪にキスをした後、顔を埋め・・・。
あったかい吐息に、正剛が近くにいると実感できて安心する。
「毎日、今頃○○は何してるんだろうって考えてた」
「私もいつも正剛のことばかり考えてたよ」
腕を緩め、温かい眼差しで見つめられます。
私は会えた嬉しさで笑顔が止まらない。
「○○」
キス♪
(正剛の側にいたい。もう離れるなんてイヤ・・・)
「数日とは言え、○○に会えないのは辛かった。時間がとてつもなく長く感じたよ。せめて声だけでも聞きたかったけど、叶わなかった・・・」
包み込むようなキスが、甘いキスに変わっていく。
背中にそっと手を回すと、キスはより甘美に・・・。
「会えなかった分、時分が抑えられなくなりそうだ・・・」
「正剛・・・」
熱い息が唇にかかって、キスが深くなっていく。
キスをされるたびに、鼓動はどんどん速まっていきます。
「○○とこうして一緒にいたい。そのためにも早くこの問題を解決するよ」
「うん・・・」
「マスコミでも報道されたと聞いている。○○や○○のご両親、そして周りの人達を安心させたい」
(ご両親・・・)
“もう正剛君とは付き合うのはやめなさい”
父親の言葉が蘇ります。
胸がズキンとして、私はキスを止めてしまった。
「どうした?」
息がかかるほどの距離で見つめる正剛。
ここで選択肢。
「実はお父さんから・・・」
「やっぱり、お父さんもテレビや新聞で見たのか?」
「・・・そうみたい」
「そうか・・・ご両親にも心配掛けて申し訳ない・・・」
「正剛・・・」
苦しく、辛そうな正剛。
それ以上のことはやはり言えませんでした。
「とにかく、早く問題を解決する。みんなのためにも、俺のためにも・・・」
「うん。正剛ならできるよ。みんなも正剛のこと思ってくれてるし、応援してくれてるよ」
「ありがとう。心強いよ」
家までの帰り道。
指を絡めて、寄り添うように歩きます。
「正剛、明日からどうするの?」
「会社に出て、今回の問題の調査を始めようと思う」
「そうだね。私も手伝うよ」
「ありがとう、○○。助かるよ」
自宅が目の前に来たとき、ふっと足が止まります。
(え・・・)
「どうした?」
「お父さんが・・・」
「○○・・・」
繋いだ手をそっと離し・・・。
「先日のパーティーではありがとうございました」
「・・いえ」
深々とお辞儀をして挨拶する正剛に、硬い表情の父親。
「お、お父さん、どうしてここに・・・」
「○○こそどうしてだ?」
「え・・・」
お父さんと正剛に挟まれて、言葉が出ない。
「これはどういうことなんだ、○○?」
「・・・・・・」
父親の視線は正剛へ。
「正剛君」
「はい」
「もううちの娘には関わらないでくれ」
「え・・・」
「お、お父さん・・・!」
「正剛君、テレビや新聞で一連の問題を知ったよ。どうやら私はあなたを安易に信じすぎたようだ」
「お父さん、だからそれは違うの!」
「○○、しばらくここじゃなくて家に帰ろう」
一歩進み出る父親。
「ご迷惑とご心配をお掛けして、本当に申し訳ないと思っています」
「詫びる気持ちがあるのなら、これ以上、○○に付きまとわないでくれ」
「まだ問題解決できていない今、どんなに言葉を費やしてご説明しても、お父様にご理解いただけるとは思っておりません。でも、私は無実です」
静かに、でもきっぱりと言い切ります。
「一週間だけ時間をいただけませんか?」
「・・・・・・」
「その間に必ず無実を晴らします」
「あなたはそれで良いかもしれないが、○○に何かあっては困る!」
「○○さんのことは、何があっても私が守ります。守り抜きます!」
「!」
「正剛・・・」
「お父様、どうかもう一度、私を信じていただけないでしょうか?最後にもう一度だけ、チャンスをください・・・!」
「・・・・・・」
父親を真っすぐ見つめる正剛。
その目には力強く、強い意志が浮んでました。
「・・・わかった。だたし、一週間だけだからな」
「お父さん・・・」
「ありがとうございます。必ず、潔白を証明します」
父親は正剛をじっと見つめると、何も言わず帰って行きます。
しばらくその後姿を見送り・・・。
どちらからともなく目が合います。
(正剛になんて言おう?)
ここで選択肢。
「正剛、嫌な思いさせてごめんね・・・」
「お父さんは間違ってない。俺にもし娘がいたら、同じことをしたと思う」
安心させるように、優しく髪を撫でられます。
「○○、大丈夫だ。一週間以内に解決するから」
「うん・・・」
手を取り、手の甲にキス。
「○○のためにも、ご両親のためにも必ず・・・」
「正剛・・・」
自分のことよりも、周りをまず第一に気遣う正剛。
その優しさに胸が打たれる。
(正剛の力になってあげたい。私にできることは何でもしてあげたい)
「明日からの調査、私も頑張るからね。お父さんやお母さんに正剛のことわかってもらいたいから」
「○○・・・」
頬にキス♪
(正剛のために頑張ろう。私が正剛の力になる)
翌日から調査開始。
正剛はカジノ関係者やその方面に精通していそうな知人に電話。
その間、次々と子分の人達が聞き込みの結果を報告。
「どうだった?何か分かったか?」
「情報屋を当たってみたんですが、それらしい情報は得られませんでした。事務所近辺にここ最近怪しい人物がいなかったかも探ったんですが、残念ながら何も・・・」
「いずれにせよ、裏取引リストや契約書をここに持ち込んだヤツがいるのは確実だ。ビルの管理人室で監視カメラを分析してみるか」
「私、管理人さんに連絡してみる!」
急いで管理人室に電話。
事情を説明し、了解を得ます。
「正剛、監視カメラの映像、見せてくれるって!」
「ありがとう、○○」
「正剛さん、俺らはまだ外で情報を探ってきますんで!」
「よろしくな、お前らを頼りにしてる」
「任せてください!」
─────管理人室
ここ1ヶ月のエントランス&通用口の映像分析。
が、真犯人の手がかりは見つからず・・・。
「こんなに遅くなってしまって申し訳ない。○○、送ってくよ」
「ありがとう、正剛」
「それにしても・・・」
会社に入っているビルを振り返り。
「怪しい人物が出入りしてないってどういうことなんだろう。そこの監視カメラに映っていないなんて・・・」
「どうやって書類を事務所に置いたんだろうね・・・」
「何物かが必ず事務所に入って置いたのは間違いないんだが・・・」
謎は深まるばかり。
「正剛さん・・・」
声がして振り向くと、正剛を心配しておどおどしていた子分の人が立ってました。
「おぅ、お疲れさん。お前もいろいろ当たってくれたんだろ。ありがとな」
「あの・・・正剛さんに話したいことがあるんです・・・」
「なんだ?」
「あの・・・」
「どうした?」
優しく聞き返す正剛。
子分の人は拳を握り締めて悲しそうに顔をゆがめると、意を決したように正剛を見つめ・・・。
「あの俺、実は・・・」
ブォーーーーン!子分の人が何かを話そうとしたその時、彼の後ろにバイクが止まります。
フルフェイスのヘルメットで、誰なのか分からず・・・。
その人物は懐から何か黒い固まりを取り出すと、子分の人に向けます。
「えっ」
(まさか銃!?)
「危ない!」
正剛は叫びながら子分の人の前に!
次の瞬間。
バーーーン!ものすごい破裂音に思わず目を固く瞑ります。
「正剛さん!」
子分の人の声に、ゆっくりまぶたを開き・・・・・。
子分の人を庇ったパターン・・・!?
正剛は・・・!?
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